ローコスト住宅の”落とし穴”を知りたい!

851view2017.03.09

住宅の中身チェック

 「少しでも安くマイホームを建てたい! 」と考えたとき、いちばん気になるのは、コストを抑えることで起こるかもしれない問題点。建物の安全性は? 設備のグレードは? 将来のメンテナンスは? などなど、ローコスト住宅を目指すなら知っておきたい要注意ポイントをご紹介します。

 ローコスト住宅の安全性に問題点はない?

家を新築するときや大規模なリフォームを行うときは、かならず行政による「建築確認」「中間検査」「完了検査」を受けなければなりません。いずれも建物が建築基準法に適合しているかどうかを調べるもので、「建築確認」は着工前、「中間検査」は建築途中、「完了検査」は工事完了後に実施されます。

この検査を通らない物件は違法建築とみなされ、建てることはできません。つまり、ローコスト住宅や超ローコスト住宅であっても、この制度によって一定の安全性は確保されているということです。

とはいえ、「超ローコストで安心・安全な家は建つ? 」でご紹介した通り、見えない部分のネジの本数まではチェックが行き届かないことも。建物の安全性は、実際に作業する職人さんの技術とモラルによるところが大きいため、やはり自分たちでしっかりと信頼度を推しはかり、納得できたパートナーを選ぶことが大切です。

ローコスト住宅の建材・設備はグレードが低い?

建物の価格の差がダイレクトに反映されやすいのが、内装材や設備機器のグレード。メーカー側としては、構造にかかわる部分ではなるべくコストダウンせず、安全性に影響しない部分でコストを落とす努力をします。そのためメーカーの勧める標準仕様では、内装材や設備はごく一般的なグレードのものが選ばれることに。また、ローコスト住宅になるほど選択できるバリエーションも限られるのが一般的です。

ただし、内装材や設備はいずれ交換できるもの。構造はあとからでは変えられないため、こちらにより多くのコストをかけた建物のほうが、建主としても安心できるはずです。ハウスメーカーではなく、工務店やハウスビルダー、設計事務所などに家づくりを依頼する場合も、「あとから取り替えられる部分」でコストを抑えるのが正解。構造面にかかわる部分でのコストダウンは禁物です

もちろん、標準仕様の中に好みの内装材や設備が含まれていれば、ローコスト住宅のメリットを最大限に生かせます。検討中のプランをすみずみまでチェックし、メーカーや型番の記載がなければ担当者に尋ねるなどして、デザインや機能が希望に合っているかをあらかじめ調べておきましょう。

ローコスト住宅はプランの自由度が低い?

ローコスト系ハウスメーカーの広告でも、よく「自由設計」という表現を見かけますね。ところが内容をよく読むと、実は「自由に選べる」「自由に組み合わせられる」を指しているケースがほとんど。つまり、「いくつかの間取りのパターンから選べる・組み合わせられる」のであって、「ゼロから自由に設計できる」わけではありません

とはいえ、これはメーカーのローコスト住宅であれば避けられないこと。低価格の最大の理由が、プランのバリエーションを絞ることだからです。それによって建材の種類やサイズを画一化し、同じものを大量に製造・発注することで、1 軒あたりのコストを低く抑えているのです。

もしローコストで「ゼロから自由設計」の家を建てたいのであれば、工務店やハウスビルダー、設計事務所などに依頼する手も。さすがに1000万円以下の予算では難しいかもしれませんが、特に敷地条件が特殊なケース( 狭小地や変形敷地 )など、ハウスメーカーの規格( 企画 )プランでは建てられない場合は、一度相談してみる価値はあります。コストダウンのためにDIY や施主支給などを勧めてもらえることも多く、「自分たちで工夫してローコスト住宅を建てたい! 」という人にも向いています。

ローコスト住宅はオプション費用が高い?

内装・設備などの仕様も、間取りなどのプランも、メーカー住宅では「選べるパターンを限定する」ことで建築費を抑えています。その結果として生まれるのが、メーカーの勧める「標準仕様」や「規格( 企画 )プラン」。もしその中に希望のものが含まれていなかったり、敷地条件に沿ってどうしても変更しなければならない場合は、特別仕様となり“ オプション費用" が発生します。

ローコスト系のハウスメーカーでは、このオプション費用が割高なケースがほとんど。たった1 カ所の仕様変更であっても、そのためだけに通常とは違うルートで建材や設備を調達しなければならず、その仕入れ値の差額や人件費がオプションとして反映されるからです。「価格の安さにひかれて選んだけれど、結局あれこもれもとオプションをつけることになり、予算を大幅にオーバーしてしまった! 」という例も少なくありません。また、特に超ローコスト住宅などでは、仕様の変更そのものができないことも。いずれの場合も、希望の間取りや仕様を実現できるかどうか、それで自分たちのトータルの予算に収まるかどうか、見積もりの内容をきちんと確認しましょう。

ローコスト住宅は将来のメンテナンスが大変?

住まいはこの先20年、30年と使い続けるもの。建てるときの建築費だけでなく、そのあとにかかってくる維持費についても考えておきたいところです。

住宅のアフターフォローの体制は、依頼先によってさまざま。定期点検の内容や頻度、建物に瑕疵( 欠陥 )があったときの保障期間などについて、かならず契約前に説明があります。ちなみに新築一戸建ての場合、事業者に義務づけられた瑕疵保障期間は、引き渡しから10年間。メーカーによってはこれより長く設定されていたり、オプション扱いで期間を延長できるケースもあります。どんなフォローを何年先まで受けたいのか、依頼先選びの条件のひとつとして検討してみては。

メンテナンスの頻度には、新築時の建材・設備の品質も大きく影響しますが、原価を抑えて建てられたローコスト住宅には、どうしても安価なものが使われがち。「この建築費なら仕方ない」と割り切って将来のリフォームに備えるか、オプション費用をかけてグレードアップするかは、考え方しだいです。ただ、内装材の中でも床材は、なるべく新築時に好みの仕様にしておくのがおすすめ。壁面や設備などに比べて、床のリフォームには大がかりな工事が必要になるからです。

まとめ

ご存じの通り、新築一戸建ての相場は幅広く、坪単価でゆうに50万円もの開きがあります。その差がどこかに出るのは無理のないことですが、絶対にゆずれないのは「安全性」。そこに必要なコストだけは軽視しないで、依頼先にもしっかりした説明を求めたいものです。

 

この記事のライター:後藤由里子
主婦の友社刊「はじめての家づくり」をはじめ、数々の住宅・生活関連記事を手がけるライター。キャリアは20年、これまでの実例や建築家、ハウスビルダーへの取材件数は300以上に及ぶ。

関連記事

Go To Top