ローコスト住宅の間取りのポイント

664view2017.03.21

間取り図イメージ

ハウスメーカーやパワービルダー( 分譲住宅を扱う不動産会社 )で家づくりをするなら、用意された規格( 企画 )プランや参考プランを選ぶのがもっともローコスト。じゃあ、工務店やハウスビルダー、設計事務所などをパートナーに選び、自由設計で家を建てるときはどうしたら良いの? もちろんコストを抑えるためのプランのコツがあります。ここでは実例をまじえてベーシックなポイントをご紹介。パートナーのアドバイスをあおぎながら、ぜひ参考にしてみて。

ローコストの基本ルールは“ シンプル& コンパクト"

建物全体の形状では、正方形/ 長方形のシンプルな箱型がもっともローコストとされています。おもな理由は、外壁の表面積を減らせること。広さが同じでも、凹凸の多い複雑な建物のほうが、四角形の建物に比べて外壁の表面積は大きくなります。また、角( 建物のコーナー )が多いのもコストアップの一因に。コーナー部分に使われる建材は、フラットな面に使われるものより割高なので、材料費がかさむうえ、コーナー部分の処理には手間がか
かるため、施工費もアップします。つまり、形で言えば、角が4 カ所だけの箱型の家が、いちばんローコストで作れるのです。

また、当然ながら小さい家ほどローコストに。スペースの無駄を省いて延べ床面積をしぼれば、さらに外壁の表面積を小さくできます。

ただし、敷地条件や隣家との位置関係によっては、凹凸をつけたプランのほうが有利なことも。周囲から視線の入らない窓をつくれたり、奥の部屋まで光や風が届いたりと、かけたコスト以上のメリットが得られることもあるので、設計者とよく相談し、敷地条件に沿ったプランを検討しましょう。

 

建物図上の図を診てください。床の広さは同じ20㎡でも、外周の壁のパーツを数えてみると、右は18、左は24。凹凸のある建物ほうが、外壁の表面積が多くなることがわかります。

“ 総二階" の家が安いのはなぜ?

では、たとえば延べ床面積30坪の家を建てるとき、120坪+210坪のプランと、115坪+215坪のプランでは、どちらがローコストでしょうか?

正解は、115坪+215坪のプラン。1 階と2 階が同じ面積の、いわゆる“ 総二階" と呼ばれるプランです。このプランがローコストな理由は、おもに2 つ。ひとつは1 階の床面積( 「建坪」や「建築面積」といいます )を小さくすれば、その分だけ基礎や土台も小さくできること。外壁と同じく、基礎や土台の施工には多額の費用がかかるため、この面積の差はコストに大きく影響します。

もうひとつは、屋根の形状がシンプルになること。1 階より2 階が小さいプランでは、1階部分にも屋根をつけることになり、その分だけ施工の手間がかかります。2 階だけに屋根をのせた総二階にして、さらに屋根の形状も片流れや切り妻などの単純なデザインにすると、よりコストダウンをはかれるでしょう。

間仕切りの少ないオープンプランにも注目を

居室のプランでは、ひとつの空間をなるべくオープンにして部屋数を絞ることが、コストダウンに大きく貢献します。部屋数が多ければ、間仕切り壁を仕上げるための材料費や施工費がかかるうえ、出入りするためのドアや引き戸、部屋ごとの照明やエアコンなども必要に。特にドアや引き戸を増やすとコストアップに直結するため、間仕切り壁だけでスペースをあいまいに区切り、建具は省くというコストダウンテクニックもあります。

家族共有のワークスペースやアトリエなどがほしい場合も、独立した個室ではなく、LDの中にコーナーとして設けてみては。家族それぞれの居場所が増えたり、孤立感なく過ごせたりと、コストダウンのほかにもさまざまなメリットが期待できます。

ほかにも、階段ホールを独立させずにLDに取り込む、廊下をなくして居室と水回りを直接つなぐ、子どもが2人以上いても個室にはせずに、ワンルームにして家具やパーティションで仕切る、などの工夫も有効です。一方で、壁が少ないことから生まれるデメリット( エアコンが効きにくい、家具を配置しにくい、コンセントが少ないなど )もやはりあります。やみくもにオープンにするのではなく、入居後の暮らしを具体的にイメージしながらプランすることが大切です。

オープンなプランのメリット

  • 間仕切り壁や建具にかかるコストをカットできる
  • エアコンや照明器具が少なくてすむ
  • 家族の気配を感じながら過ごせる
  • 移動の際のドアの開閉が少なく、生活や家事がスムーズ
  • 家族構成が変わったときに対応しやすい

オープンなプランのデメリット

  • 冷暖房効率が落ちやすい
  • 家具やテレビの配置が難しく、収納も不足しがち
  • コンセントが少ない、または遠い
  • くつろぎの場で、キッチンの作業音が気になる

 

 

総二階+間仕切りの少ないプランで

1000万円台のローコスト住宅を実現!

神奈川県・Mさん宅

2000万円という予算で家づくりを計画した南さん。凹凸のない箱型の総二階、シンプルな切り妻屋根、部屋数をしぼって間仕切りを減らす、オープンなLDK など、ここでご紹介したコストダウンの工夫が満載です。

南邸 外観

四角い箱+切り妻屋根の外観デザインは、ローコストでありながら可愛らしい印象。外壁材の使い方にも工夫して、道路側だけ左官材( ジョリパット )で仕上げ、ほかの3 面にはそれより安価なガルバリウムを採用しました。

 

南邸 間取りイラスト

凹凸のない長方形のプランを選び、12 階の床面積をほぼ揃えた総二階に。屋内の間取りは、1 階も2 階もワンルームのみ。間仕切り壁や建具にかかるコストを抑えています。

DATA

家族構成 夫婦
敷地面積 123.60㎡(37.39)
建築面積 39.74 ㎡(12.02)
延べ床面積

76.69(23.20)

 1F39.43 ㎡+2F37.26

構造・工法 木造2 階建て( 金物構法 )
本体工事費 1890万円
3.3 ㎡単価 81万円
設計・施工 ピーズ・サプライ www.ps-supply.com

 

南邸 リビング全体図

キッチンとLDの間はカウンターだけのオープンな造り。壁で囲うよりローコストなうえ、暗さや閉塞感、孤立感がないというメリットも。

 

南邸 リビングの様子

ソファの背後のスペースは、壁を立てれば個室になる仕組み。いずれ子どものプレイルームなどが必要になったときに仕切る予定とか。

 

南邸 寝室

1 階の寝室も、現在は広々としたワンルーム。将来は中央で2 部屋に仕切れるよう、照明や廊下側のドアはそれぞれのスペースに用意しました。

水回りをまとめるプランもメリット大!

キッチン、バス、洗面室、トイレなどの水回りスペースは、なるべく近づけてプランすると、給排水の配管が短くなりコストダウンにつながります。1 階にバス& 洗面室、2 階にキッチンを配するようなプランでも、上下階で位置をそろえることで同じ効果が。配管がまとまっていると、将来のメンテナンスも比較的簡単。さらに水回りと給湯器の距離を近づけておけば、暮らしはじめてからのガス代も節約できます。

メリットはコスト面だけではありません。たとえば食事の支度や後片づけをするかたわら、洗濯機を回したり、子どものおふろの様子を見にいったりする日常のシーン。キッチンとバス・洗面室が近ければ、行き来がぐんとラクになりますよね。家事の多くは水回りスペースで行われるため、水回りをまとめたプランは家事動線の短縮にもつながるというわけです。

まとめ

自分たちのリクエストを生かせる自由設計なら、こんなコストダウンテクニックをとり入れることもできます。しかも、コストを抑えるための工夫が思いがけないメリットを生み出すことも。予算が同じ1000万円台でも、たんなる「安かろう悪かろう」のローコスト住宅ではない、知恵を詰め込んだ住まいを目指しましょう!

 

この記事のライター:後藤由里子
主婦の友社刊「はじめての家づくり」をはじめ、数々の住宅・生活関連記事を手がけるライター。キャリアは20年、これまでの実例や建築家、ハウスビルダーへの取材件数は300以上に及ぶ。

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