密集地でも、明るくてのびやかな家で暮らす

687view2017.06.21

DMA-395A0013

Hさん宅(愛知県)】

お二人とも大学の研究者というHさん夫妻。仕事の関係で愛知県に転居することが決まり、勤務先近くで家を建てることに。「ホームページを拝見したら、わかりやすい説明で、お顔も相談しやすい雰囲気だったので(笑)、すぐにメールで連絡しました」と、「悠らり建築事務所」の安藤さん夫妻に依頼。一緒に土地探しから始めることになりました。

候補にあがった土地は、北側斜線による高さ制限があるエリアで、南、北、東を隣家に囲まれた場所。「ですが、日当たりが悪いなどの悪条件は、設計の工夫で改善できると聞いて、逆に楽しみになってきました」。厳しい制限のある北側斜線に合わせて天井を傾斜させ、雰囲気のある空間に。天井のいちばん低い部分に吊り戸棚を設けることで、頭をぶつけることなく手の届きやすい、機能的な壁面収納となりました。

心配だった日当たりも、窓を隣家の北側斜線に合わせて高い場所に配し、天窓を設置することで明るさを確保。さらに吹き抜けのおかげで1階まで光が届きます。また、構造設計士との連携で、柱のない大空間を実現。借景の緑で抜け感いっぱいの窓や、リビングからひとつながりのバルコニーなど、開放的な空間が演出されています。「建坪以上に広さを感じ、この開放感に仕事の疲れも癒されます」

ここに大満足!

  • 土地と建物をうまく予算配分して快適な家を実現
  • 窓の位置や借景など設計の工夫で、明るく開放的な空間に
  • オーダー家具での計画的な収納によって、すっきりと暮らす

2F LDK

三方を隣家に囲まれているとは思えない明るい空間。勾配天井の低い部分に吊り戸棚を設置するなど、収納は造作家具ですっきりと。

2F LD

収納棚奥の吹き抜けから、天窓の光を1階へ。壁面窓は、隣家の北側斜線制限に合わせて高い位置に。隣家を隠すと同時に日ざしを確保しました。壁は風通しのいい開閉式に心地よい空気感を生む調湿&消臭効果のある珪藻土。天窓は熱を遮断するLow-Eガラスを採用して、風通しのいい開閉式に。

【こうしてよかった!】天窓から光をとり込むほかに吹き抜けには部屋干しスペースも

冷暖房効率を考え、吹き抜けは開閉式に。部屋干し用パイプも設置。「LDKから洗濯物が見えないのはうれしい」

2F リビング

畳でくつろぐスタイルなので、壁面収納の扉に強度をもたせ、背もたれがわりに。ロフトは子どもたちの大好きな遊び場になっています。壁に一面につけた長さ5.4mのカウンターはTV台、デスク、収納にと大活躍。ごろりとくつろげるように畳を採用。ダニが発生しにくくメンテナンスもラクな和紙の畳を選びました。

 

引き込み戸を全開にするとリビングとバルコニーがつながって一体化し、開放的な空間に感じられます。ひと西向きのため、日よけのターフが張れるように金具を設置しています。

 

2F キッチン

背面収納の家電は使うとき以外は引き戸で隠せます。天井と同じシナ合板の扉なのですっきりした印象に。

また、引き戸の手前にカウンターを少し張りを出させたので、食器や料理の一時置きもできて、とても便利なのだそう。

天井が高くてレンジフードのダクトが長くなるため、換気扇は昇降式を採用しました。

必要なときだけセットできるカウンターは、配膳台としてだけでなく、料理をしながらお子さんに勉強を教えるときやごはん会のときにも大活躍。

 

RF 見晴らし台

高台の立地を生かし、屋根の上に2畳ほどの見晴らし台を設置。「花火見物やお月見もできます」

ご夫妻の仕事にかかわりのある遺伝子を、右回りのらせん階段で表現。階下に光が届くよう、床はグレーチングに。

 

読書やアウトドアなど、趣味もますます楽しく!

「土地が相場より低価格だったので、その分の予算を建物に回すことができ、高性能で快適な家をめざすことができました」。断熱効果を高めたため、夏の暑さが軽減され、冬も床暖房だけで暖かく過ごせるといいます。また機能性だけでなく、見晴らし台やらせん階段、外で食事が楽しめるバルコニーなど、家族で生活を楽しむ演出もいっぱい。

「あと、駐車場横の水道は、温水も出るようにして大正解でした。冬に釣り道具などを洗うとき、地味にうれしいです(笑)」

 

1F 子ども部屋

お子さんたちの部屋の中央にある、天井までの本棚は間仕切りも兼ねて設置。くぐり抜けて行き来もできます。将来的には、半分ずつ背板をはめて完全な個室にする予定です。

それぞれ3.6畳とコンパクトながら、ベッドも置けます。本棚の抜け道はHさんのアイディアだそう。

子ども部屋から吹き抜けを見上げて。天窓からの光や上下階の通風効果だけでなく、お互いの気配を感じられて安心です。

1F 寝室

1階奥の和室が、今は家族全員の寝室になっています。右手の障子の向こうに小さな庭を設けたことで、明るさも得られます。ニッチには就寝前に楽しむ本とCDプレーヤーを置くのに役立っています。

和室の入り口横にあるデスクコーナー。「将来的には仏壇を置くつもりで、このスペースを設けました」

1F 廊下

廊下の両側を収納にし、家族の衣類はすべてここに収納しています。廊下でありながら、ウォークスルークローゼットの役割も兼ねています。

1F 洗面コーナー

玄関横に設けた洗面コーナーは「すぐに手が洗えて重宝しています」。愛犬やカメなどペットのお世話が日常的なHさん宅には助かる設備。朝の洗面の混雑解消にも。

1F 玄関ホール

玄関ホール横に、念願の納戸を実現。趣味のアウトドア用品などを気軽に出し入れできます。「用意や片づけが面倒でなくなりました(笑)」

外観

ガルバリウム鋼板の外観。周囲の目を気にせずくつろげるよう、2階バルコニーの腰壁は他家の窓が視界に入らない高さに。

芝生がかわいい枕木の外階段。右手のスロープで、自転車もラクに運べます。

1F エントランス

ピーラー材のオリジナル玄関ドア。ポーチは、愛犬が散歩から帰ってきても汚れが目立たない、洗い出しの玉砂利に。外納戸には、スノータイヤなど家に入れたくないものを収納するのに便利。

2F 浴室

「お風呂は暗めの色のほうが落ち着ける」という奥さまの希望で、黒っぽいタイルに。窓から見える借景の緑にも癒されます。

2F サニタリー

換気ができるよう、ミラー横に縦長の窓を設けました。バケツも入る大きなシンクは、洗面以外にも使えて機能的。

常にタブレットを持ち歩いているご主人のオーダーで、トイレにタブレット置き場を設置しました。

 

 

設計のPoint

安藤亨英 安藤節子

悠らり建築事務所

安藤 亨英さん
安藤 節子さん

シンプル志向のご主人と、ナチュラル好きの奥さま。好みをミックスするのではなく、中庭をはさんでエリア分けしました。コの字形の建物は、採光と通風の向上とともに、窓越しに気配が感じられるため、ほどよい距離感でお互いに落ち着ける空間が得られます。コスト面では、ヒアリングを密にし、本体工事、設備、造作家具、外構工事の予算をしっかり配分。現場の職人さんでも可能な作業は依頼し、またクロス張りはやめるなど、多くの業種を入れない配慮もしました。

さまざまなデメリットを逆手にとり、メリットに変えることで、のびのびと快適に暮らせる家を設計しました。窓の位置を配慮するだけでなく、バルコニーの腰壁の高さも周辺の建物を消して空をとり込めるように設定したため、囲まれていることを忘れ、心地よく暮らすことができます。食後の片づけをしている間に子どもだけで入浴できるよう、キッチン近くに浴室を配したり、適材適所の収納を設けることで、共働きのご夫妻の家事がスムーズになるよう工夫しました。

【Profile】
亨英さん(1973年生まれ)は設計事務所を経て、節子さん(72年生まれ)は住宅・リフォーム会社を経て、2007年に夫婦共同で事務所を設立。男女双方の目線を生かした設計が得意。

家族構成 夫婦+子ども2人
敷地面積 140.09㎡(42.38坪)
建築面積 58.59㎡(17.72坪)
延べ床面積 100.93㎡(30.53坪)F49.59㎡+2F51.34
構造・工法 木造2階建て(軸組み工法)
工期 20137月~20141
本体工事費 2700万円
3.3㎡単価 88万円
設計 悠らり建築事務所
TEL:052-871-5689
構造設計 ワークショップ TEL:0568-68-6085
施工 ㈲藤里建築工房
TEL:090-2614-1184

関連記事

Go To Top