狭小住宅での階段はどうプランするといいの?

358view2017.06.23

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2 階建てや3 階建てには絶対に必要なのに、意外と面積をとってしまうのが階段。ただでさえ敷地面積の小さい狭小住宅では、省スペースで使いやすい階段をプランしたいもの。ここでは特に狭小住宅の階段について、実例を見ながら考えてみましょう。

階段にはどんな種類があるの?

階段には多くの種類があり、それぞれ上り下りのしやすさや必要な面積などに違いがあります。また同じタイプの階段でも、踏み板の幅や奥行き、蹴上げ( けあげ )の高さによっても面積が変わります。

 

ちなみに階段の寸法は建築基準法で定められているため、それに従って計画しなければなりません。ちなみに住宅では、踏み板は15cm以上、蹴上げは23cm以下、勾配は40度以下( 通常は3035)が適当とされています。

狭小住宅では、直階段やらせん階段を2(1.8×1.8m) ほどの面積でつくるケースが多いようです。ただし、面積をしぼると勾配が急になり、上り下りがしにくくなることもあります。逆に考え方を変えて、ゆったりした階段をリビングの中にとり込んだり、階段の踊り場を広くとってほかの目的に使うという手もあります。

「狭小住宅にはこの階段がベスト! 」という正解はありません。面積を減らすことだけを目指すのではなく、リビングと個室との関係や、階段をどう使いたいかなど、住まい全体のプランの中でトータルに計画するのが理想的です。

 

狭小住宅では、階段をどこにどうつくる?

建物全体の中での階段のプランは、敷地条件( 面積、道路づけ、日照条件など )や建物の規模( 建築面積、2 階建てか3 階建てかなど )、家族構成( 子どもや高齢者がいるかなど )LDと個室の位置( どちらが1 階でどちらが2 階か )、吹き抜けをつくるかつくらないかなど、さまざまな条件に左右されます。

もっと大きくプランに影響するのは、階段をつくる目的です。たとえば「階段は上り下りできればOK! 」と考えて、条件のよくない北側にコンパクトな階段をつくり、階段下を収納などに活用するケース。いっぽう「階段も遊びやくつろぎの場にしたい! 」と考えて、条件のいい南側のリビングの中にゆったりした階段をつくるケース。同じ階段でも、完成するものはまったく違いますよね。

階段のデザインも、つくる場所や目的によって、さまざまな選択肢があります。階段下を収納などに使うなら、蹴込み板のある一般的な階段が向いています。反対にリビングの一角に階段つくるなら、蹴込み板のないスケルトン階段にすると、見た目の圧迫感がなく、上階からの光も通りやすくなります。

 

狭小住宅の階段実例をまとめてご紹介!

建築面積16坪以下、延べ床面積30坪以下の実例の中から、技あり! の階段プランを集めました。住まい全体の中で、階段がどんな役割を果たしているのかにも注目してみてください。

 

CASE STUDY①

イメージはジブリ美術館! らせん階段をギャラリー風に

森さん宅( 東京都 )

家族構成 夫婦+子ども2/ 建築面積約10/ 延べ床面積約29

玄関を入るとあられるのは、圧迫感のない白いらせん階段。手すりをシンプルにして蹴込み板もなくしたことで、より軽やかな印象になりました。

 

2 階のリビング。らせん階段のデザインを楽しみながら、ベンチがわりにも活用しています。

 

リビングから3 階の子ども部屋へ。実はこの階段はお子さんのアイディアで、「ジブリ美術館みたいならせん階段がほしい! 」とリクエストしたのだそう。念願かなって、階段の周りには作品がいっぱい!

 

CASE STUDY②

無骨ならせん階段はデザインもお気に入り!

永田さん宅( 熊本県 )

 

 

家族構成 夫婦+子ども2/ 建築面積約15/ 延べ床面積約25

 玄関は6 畳もの広さの土間。その外にフェンスで囲んだテラスがあり、家の内外がひと続きになっています。土間に設けたのはアイアンのらせん階段。無骨な素材からも、アウトドアのようなラフな雰囲気が伝わります。

階段の蹴込み板がなく、手すりも細めなので、光や風が上下階を通り抜けます。吹き抜けの床にも、光を遮らない格子状のグレーチングを採用しました。

 

CASE STUDY③

短い階段で12 階をつないだら、家全体がワンルーム感覚に

Mさん宅( 東京都 )

 

家族構成 夫婦+子ども1/ 建築面積約16/ 延べ床面積約26

 

階段をリビングの一角にとり込んだ例。しかも2 階の階高をおさえたことで、段数はわずか11!   上下階の距離がぐっと近づき、家全体がワンルームのような雰囲気になりました。デッドスペースになりやすい階段下にはTVを配置しています。

 

階高をおさえつつも、リビングは吹き抜けのおおらかな空間に。このダイナミックな高さのメリハリも、狭小住宅で狭さを感じさせないテクニックのひとつです。

 

階段を上がると、吹き抜けに面したカウンターが。廊下の幅をあえて広げたことで、ネイリストの奥さまのアトリエとして使えるようになりました。

 

CASE STUDY④

あえて広くした踊り場が、ゆとりの書斎コーナーに

Iさん宅( 東京都 )

 

家族構成 夫婦+子ども2/ 建築面積約12/ 延べ床面積約23

 

建築面積12坪ほどの狭小住宅ですが、あえて踊り場つきの折り返し階段をプラン。しかも踊り場の奥行きをたっぷりとって、本棚とデスクを造りつけました。小さな住まいでも書斎コーナーが完成!

 

階段ホールにはこんな楽しいコーナーも。ステンシル作家さんにお願いして樹木の絵を描いてもらい、お子さんの身長計として楽しんでいます。

 

CASE STUDY⑤

土間+オープン階段でつくったフレキシブルな空間

K さん宅( 東京都 )

家族構成 夫婦+子ども2/ 建築面積約11/ 延べ床面積約22

玄関から奥のテラスまで、モルタル仕上げの床が長く伸びています。玄関ホール・階段・居室をそれぞれ分けず、あいまいにプランしたことで、限られた面積の使い道が広がりました。蹴込み板がないため風がスーッと通り抜け、夏は特に気持ちがいいそう。

 

階段下の広い壁面を生かして、大容量の本棚を造りつけました。階段と棚板の素材感を合わせたのもポイント。

 

本棚の隣にはデスクが続き、ご主人の書斎スペースに。デスクの向かい側は小上がり風のフリースペース。将来は子ども部屋にする予定とか。

 

狭小住宅での階段プラン、それぞれのメリットとデメリットは?

狭小住宅に向くさまざまな階段のプランにはどんな特徴があるのか、予想されるデメリットも含めてまとめてみました。

 階段下を納戸や洗濯機置き場にする

メリット: 階段下のデッドスペースを無駄なく活用でき、狭小住宅に不足しがちな収納スペースを増やせる。トイレにする手もあり

デメリット: 天井が斜めになっているので、奥のスペースが使いにくい

 階段下や踊り場に多目的スペースつくる

メリット: ワークスペースやライブラリーなど、狭小住宅では難しいプラスアルファの空間ができる

デメリット: 暖房がないと寒い、窓をつけておかないと暗い

 リビング階段

メリット: リビングに開放感が生まれ、人がすわって過ごせるスペースが増える

デメリット: 吹き抜けを通って冷気や暖気が逃げやすい

 らせん階段

メリット: コンパクトでデザイン性も楽しめる

デメリット: 大きな家具を運び込みにくい、高齢になると上り下りしにくい

 

まとめ

階段そのものをぎゅっとコンパクトにしたり、あえてゆったりした階段を生活空間にとけこませたり。考え方は間逆なのに、どちらも狭小住宅には有効なプランなんですね。自分たちの暮らしに合うかどうかはもちろん、素材やデザインにも注目してプランニングしてください。

この記事のライター:後藤由里子
主婦の友社刊「はじめての家づくり」をはじめ、数々の住宅・生活関連記事を手がけるライター。キャリアは20年、これまでの実例や建築家、ハウスビルダーへの取材件数は300以上に及ぶ。

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