建築面積10坪以下! 究極の狭小住宅に学ぼう

2,862view2017.06.26

親切な建築家21

「家って最低限どのくらいの広さがあれば生活できるの? 」という素朴な疑問。みなさんも考えたことがあるのでは?

狭小住宅が歩んできた過程を見てみると、この問題にチャレンジしてきた先輩たちが次々に登場します。なかにはなんと建坪( 建築面積 )10坪以下という超狭小住宅も! ここではそんな実例を見ながら、コンパクトハウスの極意について考えてみましょう。

建築面積9! その名も「9 坪ハウス」とは?

家族で暮らす一般的な住まいでは、建築面積が1015坪、延べ床面積が2030坪であれば、十分に狭小住宅と言えるでしょう。でも、これより小さな住宅として、建築面積が9 坪=「9 坪ハウス」と呼ばれる家もたくさん生まれているんです。

そのさきがけとなったのは、建築家の増沢洵が1952年に手がけた自宅「最小限住宅」です。1 階が9 坪、2 階が6(3 坪の吹き抜け )の箱型の形状で、生活空間として使える床面積は15坪。このコンパクトな建物の中に、1 階に吹き抜けのLDとキッチン、寝室、2階に書斎と家事室という豊かな空間がおさめられていました。

この「最小限住宅」の考え方を受け継いで、2000年ごろから数多くの9 坪ハウスが建てられるようになりました。デザイナーズハウスとして提案されているものも多く、小さくて洗練された暮らしを目指す人を中心に人気を集めています。

実際に910坪の家を建てる人は限られているかもしれませんが、実例の図面や写真を見てみると、これからコンパクトハウスを目指す人にとって参考になる工夫が満載。狭く感じさせない空間設計や、デッドスペースを生かす収納プランなどに注目してみて。

 

CASE STUDY

建築面積9 坪!  都心に建てた、明るく伸びやかなコンパクトハウス

小林さん( 東京都 )

 

家族構成 夫婦+子ども2
敷地面積 48.70(14.73)
建築面積

28.65(8.67)

延べ床面積 84.78(25.65)
構造・工法 木造+RC造造
設計  

()アーツアンドクラフツ建築研究所 杉浦伝宗

http://arts-crafts.jp/

「家を建てることになったのは、母から譲り受けた15坪ほどの敷地。とにかく面積が小さいので、まずは狭小住宅を扱った雑誌で依頼先を探しました。

狭小住宅を手がけるメーカーや工務店にも話を聞きながら、狭小住宅を得意とされている建築家の杉浦伝宗さんにコンタクトをとってみました。最初は敷居が高いかな? と思っていましたが、お会いしてみたらとてもやさしいかたで。そしてなんといっても、杉浦さんの実例がどれも明るくておしゃれだったのに魅力を感じました。

自分たちの希望を理解してくださったうえで、さらにどう暮らしたいのかも汲み取ってプランしてくださいました。LDK2 階なのですが、おふろは光をとり込みやすい3 階に、トイレは流す音が気にならないように1 階と3 階に……など、納得のいく提案ばかり。圧迫感のない収納のつくり方にも感心しました。

こんな小さな敷地なのに、シンボルツリーやバルコニーの家庭菜園まで実現できました。特にシンボルツリーは、都心暮らしでも季節の移り変わりが感じられて大満足! クリスマスにはイルミネーションも楽しめるんですよ」

白いフェンスと縦格子の引き戸がスタイリッシュ。家の中の採光・通風とプライバシーを両立させています。3 階まで届くシンボルツリーはヤマボウシ。

 

玄関ドアは手前に開閉スペースのいらない引き戸にしました。これも省スペースの工夫のひとつです。

 

ガレージの一角につくった外収納。物置がわりにキャンプ用品などをしまっています。

 

1 階の和室。壁面収納は下部をあけて、宙に浮いたようにプランしました( 「吊り押入れ」ともいいます )。布団を敷いたとき、脚がこの下に入るように考えられたもの。

 

畳を上げると、下はすべて収納!  狭小住宅で参考にしたい収納アイディアです。

 

 

リビングの収納も宙に浮いたようなデザイン。これが部屋を広く見せる効果を生み出しています。縦長の収納スペースは、掃除機をしまうためにリクエストしたもの。エアコンはルーバーで隠し、吊り戸棚もつけて収納量を増やしました。

 

バルコニーから明るい光が入る2 階のLD。このフロアはLDとキッチンだけのワンルームにして、限られた床面積を生かしました。

 

キッチンは対面式のオープンスタイル。キャビネットの白をベースに、レンジフードと冷蔵庫のステンレス色をアクセントにしました。取っ手のない吊り戸棚は壁のような印象で、圧迫感を払拭しながら収納量を確保しています。

 

バルコニーの一角の家庭菜園。 RC 造の部分に土を入れて、庭がわりに楽しんでいます。バルコニーの床には穴をあけ、1 階に植えたヤマボウシも眺められるようにしました。

 

「おふろは1 階かなと思っていたら、3 階に提案されてびっくり! このほうが明るくて気持ちいいので、1 階にしなくて本当によかったです」。北側斜線に沿って天井が斜めになりましたが、その部分をガラスにしたことで、伸び伸びとした開放感が生まれました。

 

洗濯機置き場も、おふろと同じ3 階にプラン。「物干しバルコニーが3 階なので、干しに行くのがラクで助かります」

 

子ども部屋はいずれ2 つに仕切って使えるように想定しました。壁面には、リビングやキッチンにも採用した吊り戸棚が。これも部屋を広く使うアイディアです。

 

狭小住宅は建築家の腕の見せどころ!?

小林さん宅を設計した杉浦伝宗さんをはじめ、狭小住宅を手がける建築家はたくさんいます。なかには「条件が厳しければ、それをクリアするためにいいプランが生まれる」という人も。もちろん、狭小住宅を建てた先輩たちの中には「建築家をパートナーに選んでよかった! 」という人も多数。たとえばこんな感想が寄せられています。

 

  • LDに広い面積を割けず、圧迫感が不安でしたが、ダイニングにつながるデッキを提案されて解決。想像以上に開放感が出ました。( 東京都・K さん )

 

  • 提案してもらったオープンキッチンは、家事をしながら家族やゲストと話ができて大正解! 小さな家ではキッチンとLDの距離が近いので、よけいにそのメリットが感じられます。( 千葉県・K さん )

 

  • 中庭をつくり、2 階まで届く白いフェンスで囲んだプランを採用。ご近所からの視線がまったく気にならないので、小さな家でも窓をあけて伸び伸びと暮らせます。フェンスに反射した光で室内が明るくなるのも○。( 埼玉県・G さん )

 

  • アドバイスをもらって浴室と洗面室にトップライトをつけました。明るくて狭さも気にならず、毎日プチ贅沢を味わっています。( 神奈川県・O さん )

 

  • 小さな家でも収納にこだわれたのがよかった。生活シーンを想定して、何をどこにしまうかをこまかくリサーチしてもらえたので、今もすっきり暮らせています。( 東京都・Fさん )

 

どれもプロならではのきめこまかな配慮が感じられますよね。もし気になる建築家を見つけたら、「こんな小さな敷地では引き受けてもらえないかも…」とあきらめずに、一度相談してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ 

10坪以下でも工夫しだいで快適に暮らせる! と分かれば、これから狭小住宅を検討する人にとっては心強いですよね。そして、10坪以下の狭小住宅では依頼先選びも肝心。悪条件に負けないプランを提案してくれるパートナーを見つけたいものです。

この記事のライター:後藤由里子
主婦の友社刊「はじめての家づくり」をはじめ、数々の住宅・生活関連記事を手がけるライター。キャリアは20年、これまでの実例や建築家、ハウスビルダーへの取材件数は300以上に及ぶ。

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