パッシブデザインで、夏涼しくて、冬暖かい家づくり case2

255view2017.07.21

DMA-007

夏は熱帯夜が続き、季節を問わず異常気象の多い昨今、「夏涼しくて、冬暖かい」家がますます求められています。

快適とは、家本体にも住む人にも心地よいということ。「一年中快適」な家で健康的に暮らす家の実例をケース1に続いてケース2をご紹介します。

風をとり込める吹き抜けで、家じゅうを快適空間に

神奈川県・Tさん

夏の強い日ざしが室内に入らないよう、1階も2階も軒をやや深めに設定。太陽高度の低い冬には、暖かな日ざしをとり込めます。屋内では吹き抜けが風の通り道として活躍。

南側から取り入れた風を北側に抜くほか、1階は玄関〜シューズクローゼット〜キッチン〜パントリーの勝手口、2階は子ども部屋と書斎〜ファミリーコーナー〜寝室という東西の通風経路も確保しました。

 

「プランを考える際にいちばん重視したのは、風が通り抜けること。それまで住んでいたマンションの風通しがよくなかったので、その不満点を生かしたかったんです」

そう話してくれたTさんの新居には、快適な住まいづくりの工夫がぎっしりと詰め込まれています。

そのひとつが吹き抜けのつくり方。ハイサイドライトをはめごろしにせず引き違い戸にしたことで、家全体に風をとり込めるようになりました。その風の出口は、対角線上に設けた小窓。玄関ホール、キッチン、ロフトにも風抜きのための窓を設け、入ってきた風が通り抜けられるようにしました。

「冷房を使うのは真夏の猛暑日くらい。それと真冬を除けば、ほとんどすべての窓を開けて暮らしています。玄関とトイレ以外のすべての扉を、ドアではなく引き戸にしたのも正解。開けておけば空気のこもる部屋がひとつもなくなるので、どこにいても快適です」

暖かい空気が2階にたまってしまわないよう、吹き抜けにはシーリングファンを設置。夏も冬も、家全体を空気がぐるぐる循環する流れをつくりました。

「意外な効果があったのは、洗濯物の室内干し。吹き抜けにロープを張って洗濯物を並べ、シーリングファンを回しておくと、夜洗ったものが朝には乾いています! 小さなことですが、こんな経験からも家の中を風が流れているのを実感します」

外観

北側の隣家は、奥さまのおばあさまの家。敷地の半分を譲り受けて新居を計画し、庭に植わっていた木々も生かしました。南に向けて傾斜させた屋根面には太陽光発電パネルを設置。

LD

快適さを重視して、内装材には予算をしっかり確保。1階は壁を珪藻土、床を無垢のナラ材と天然オイルで仕上げ、自然素材の調湿機能を生かしました。LDKには温水式床暖房も採用。

 

重心を低く抑えたリビングから一転、ダイニングはおおらかな吹き抜けの空間。構造上必要だったすじかいは、壁で覆わずあらわしに。視線が抜けるため圧迫感がなく、風通しにも貢献しています。

 

快適ポイント 家じゅうの出入り口は開け放しにできる引き戸

リビングと玄関ホールの間には「神谷コーポレーション」の引き戸を。エアコンをつけるとき以外はほとんど開けたままだそう。手頃な既製品ですが、天井まで届くサイズが魅力です。

 

快適ポイント 屋外と屋内、2つのひさしが日除けに効果的

窓の外では、2階のバルコニーを兼ねた深いひさしが、夏場の日ざしをカット。さらに吹き抜けに設けたキャットウォークが、ハイサイドライトからの直射日光をやんわりと遮ってくれます。

和室

快適ポイント 和室には涼しい風を満喫できる地窓を

小さくてもいいから客間を用意したいと和室をプラン。「大人も子どもも、夏にここでお昼寝するのが大好き。土の地面に近いせいか、地窓から気持ちのいい風が入ってきます」

キッチン

快適ポイント 明かり取り&風抜きの小窓をキッチンに

「家事をしている間も子どもに目が届くように、対面式キッチンを選びました」。奥に見える小窓は、庭側の掃き出し窓の真正面。一直線に風が抜け、キッチンの採光にも役立っています。

 

吹き抜け

快適ポイント 開閉できるハイサイドライトでたっぷり通風

明るさや眺めを優先して、はめごろしにするケースが多いハイサイドライト。Tさん宅では引き違い窓にキャットウォークを組み合わせたため、自由に開け閉めできます。

快適ポイント 設備機器を効果的に組み合わせる

吹き抜けの上にはシーリングファンとエアコンが。夏はここで冷房をつけ、ファンで涼しい空気を階下に送る仕組み。冬は上昇してきた暖かい空気を、同様に下ろして循環させます。

 

浴室

色使いがモダンな印象のシステムバス。風をとり入れやすい大きめの窓をつけましたが、目隠しのフェンスを立てたため、隣家からの視線は気になりません。

子供部屋

天井高を生かして、収納にもベッドにもなるロフトをプラン。ファミリーコーナー~寝室~キャットウォークをぐるぐる回れる回遊動線が、遊び場にぴったり。

ファミリーコーナー

吹き抜けの開放感を味わえる2階ホール。家族みんなでパソコンなどを使えるようカウンターを造りつけました。奥に続く個室も出入り口はすべて引き戸に。

寝室

快適ポイント ロフトにもクローゼット内にも通風用の小窓を

寝室にも納戸がわりのロフトが。その下のクローゼットも収納力たっぷりです。どちらにもしっかり窓をとり、夏の熱気や湿気を逃せるように配慮しました。

洗面室

「プランや素材にコストをかけたかったので、水回り設備はごく一般的なグレードから選びました。安価でデザインが好みで、手入れもラク。私にとっては一石三鳥です」

玄関

家の中でも温度差の激しい玄関ホール。居室との間を引き戸で仕切り、必要に応じて閉めきれるようにしました。シューズクローゼットを設けたため、靴箱を置かずにすっきりと。

 

快適ポイント 通り抜けできる収納は通気性も優秀玄関ホールにつなげたシューズクローゼットは、キッチン側にも出入り口が。どちらからも生活用品をしまえて便利なうえ、内部に空気がこもるのを防げます。

快適ポイント 防犯性と通気性を兼ね備えたスリット窓「この家には開けられない窓はほとんどないんですよ」。その言葉通り、玄関ホールのスリット窓も押し出しタイプ。光と風を通しつつ、防犯性にも配慮を。

 

設計のポイント

アトリエグローカル一級建築士事務所

宇野健一さん

1964年神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業、神戸大学大学院工学研究科環境計画学科修了。現代計画研究所勤務を経て、2000年に現事務所を設立。

「なるべく電化製品に頼らず快適に暮らしたい」というリクエストを受け、家じゅうの気温差が少ない温熱バリアフリーの環境をめざしました。特に、暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下にたまる性質があるため、ともすると吹き抜けは夏暑くて冬寒い空間になりがち。開口部のプランや設備機器の使い方で、吹き抜けにつきもののデメリットをなくし、開放感や明るさといったメリットを生かしました。

DATA

家族構成 夫婦+子ども1
敷地面積 165.10㎡(49.94坪)
建築面積 57.75㎡(17.47坪)
延べ床面積

106.00㎡(32.07坪)

1F54.65㎡+2F51.35㎡

構造・工法  木造2階建て(軸組み工法)
工期 2013年10月〜2014年4月
本体工事費

約2220万円(3.3㎡単価 約69万円)

設計

アトリエグローカル一級建築士事務所

(宇野健一)

03-5912-5123

http://atelier-glocal.com/

施工 日本住研 ㈱ 0466-27-1091 www.njnet.jp

 

 >>パッシブデザインで、夏涼しくて、冬暖かい家 実例1を読む 

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